仮面ライダーゼロワン 第1話『オレが社長で仮面ライダー』感想 - 令和ライダー、始動。

前年度の『ジオウ』で「節目だし重い腰上げるか〜」っつって結局1話目の感想記事を途中まで書いてそのまま挫折したので、今年こそ一年間ダラダラと感想記事を書き連ねていこうと思います。続くといいね。

そんなこんなで異例のDX変身ベルト先行抽選販売が実施されたり、主題歌が西川貴教×J(LUNA SEA)に決定したりと、放送前から何かと話題に事欠かず個人的にも期待値高めの令和第一号ライダー『ゼロワン』ついに始まりました。

放送日も2019年09月"01"日と、なんだか狙ったような日付での幕開け。縁起が良い(?)

 


人工知能搭載人型ロボ「ヒューマギア」が浸透した世界──という触れ込みの説明込みで、大企業「飛電インテリジェンス」のPVからスタート……と思いきや、いきなり初代社長の訃報を伝えるニュース。追加キャストとして発表された西岡徳馬さんの役柄が初代社長であるとここで明らかになるわけですが、いきなり故人になっちゃっててビックリ。


その訃報を伝える飛行艇も空中に画面を投影しながら空を飛び交う。それなりに近未来寄りの世界観なんだなぁ。


そしてチャリを飛ばしながら登場する今作の主人公・飛電或人(ひでん あると)くんの叫びに被さり、作品のタイトルロゴ。なんとなく予想してたけど、やっぱり令和一発目の作品でも第1話はOP映像無しのまま本編へ。OP映像が観たかったけど次回に持ち越しという事で……


▼提供バック映像。ゼロワン、全身蛍光色なわけですがまさか本当にブラックライトで光るとは。


▼或人くん、売れないお笑い芸人のようで。芸の披露に銀色ボディのライズフォン使ってましたが、いわゆる一般普及版ってヤツでしょうか。見た目完全に今回のキーアイテムのリペイントですけど。四角形じゃない画面のスマホってすごい見にくそうだけどな……。
一発ギャグを披露して閑古鳥が鳴く、って流れはどこかドラマ「TRICK」を思い出したり。ご丁寧にクビを言い渡されるところまで大体一緒です。


さて、代わりにステージに登壇したのはなかやまきんに君………ではなく、お笑い芸人型ヒューマギア・腹筋崩壊太郎。このキャラ、放送前もそうですが第1話の放送後にネットニュースに取り上げられるほどやたらと話題になってましたね。あの破壊力あるビジュアルとキャラにネット始めSNS上ではかなり大ウケしてた模様。「腹筋崩壊太郎ロス」という言葉まで生まれてるのには笑っちゃいましたけど。中の人もかなり気に入っている役柄のようで、もはや第二の佐藤太郎枠。


腹筋崩壊(物理)


想像以上に身体を張ったネタで笑った。何これ。この人毎回吹っ飛ばしてんのかな腹筋。


▼場面変わって飛電インテリジェンス本社。


アンジャッシュ大嶋 福添副社長とAI秘書のシェスタが高級車で乗り付け登場。地味にベンツのホイールが映り込んでたり。『ドライブ』の夏映画でメルセデス・ベンツ東映に車両提供したことが記憶に新しいけど、今でも縁は続いているようで。『ゴースト』にもベンツ出てたしね。


さて、福添副社長はもうすっかり二代目社長を襲名する気でいるようで。エントランスに飾られている初代社長の肖像画に重ねて自分の巨大な肖像画まで用意している始末。どうでもいいけど肖像画の油絵のテイストがどことなく某すべらない話みたいで笑う。


▼『デイブレイクタウン』なる街並みが登場。普通の街の景観の中に鎮座しているものの、電子的な柵で囲われた中の街の敷地は荒廃しており、一際異彩を放った景色。なんとなく『カブト』のエリアXを思い出す。


その中にも、朽ち果ててはいるもののいくつか施設は残留しているようで、ある廃墟の中に明らかに超怪しい二人組。テロリスト『滅亡迅雷.net』の迅と滅。今回の敵幹部ポジですね。二人して暗い部屋の中で佇んでるけど、ここがアジトかな。


滅は司令塔ポジションのようで、色々PC弄り倒してます。迅は無邪気キャラな行動係…?かな。
飛電インテリジェンス初代社長の死を機にヒューマギアを暴走させるテロを企んでいるようで、何やら色々用意している模様。こいつらもプログライズキーを作れる辺りテクノロジーは共通してるようだけど、飛電側の開発システムデータを盗んだのかな。


『今こそ人類を滅ぼす時が来たんだ。かつてのこの街のように』

デイブレイクタウンも隔離される前は普通の街だったようで、荒廃の原因もこいつら……なのかな。滅亡迅雷.netが噛んでることは間違いなさそうですが。グローバルフリーズとかゼロデイ的なアレですかね。
そしてデイブレイクタウンの屋外は全て海?になっているようで。沈没した巨大なメカ的な何かが海の底で蠢いてますが、これの復活も目的の一つかな。

 


日高のり子の声で喋るエボルドライバーが隠されていたり某天ッ才物理学者が作り上げていそうな飛電の巨大な製造マシンが衛星と通信しながら何やら作り上げてますが、形状的に恐らく変身ベルト。いよいよベルトも3Dプリンター的なアレで製造される時代に……。


そのマシンが置かれているのは飛電の開発室かと思えば傍らのスペースは整然としていて、そこにはデスクも。……兼、社長室?そこには今年のメインヒロインも佇んでいて。衛星から命令を受信し、行動を開始。

 


▼クビを言い渡され、どうとも出来ずしょぼくれて帰る或人。その前に一台の高級車が乗り付けて、そこから登場したのは先程動き出した今作のメインヒロイン枠、社長秘書アンドロイドことイズちゃん。かわいい。無機質な喋り方の演技がムチャクチャ上手いなあ……。


まずは或人を前にしてイズちゃんが人物認識と分析を始めるワケですが、或人くん22歳なんだね………なんかアバンパートで名札の付いたジャージ着てたので、てっきり高校生くらいの設定なのかと思ってた。パーカーの上からスーツも何か着崩し学ランに見えるからさ……。


▼遊園地ステージの舞台裏では、観客が笑ってくれた事を思い出して笑顔になる腹筋崩壊太郎の姿が。本来プログラミングされているものではないようで、自然と笑みを浮かべた事に自ら戸惑っていた様子ですが、これが今年の作品のテーマというか肝な気もするなあ。人工知能に芽生える自我。


そこに滅がやってきて、腹筋崩壊太郎に怪しげなベルトを無理やり装着。ヒューマギア暴走テロの第1号にする模様。


『君は僕の友達だ。この場所を破壊して!』
『できません!私の仕事は、人を笑わせることだから……!』


例えプログラムされたものであっても人を笑わせる事に喜びを感じている自我の芽生え描写があるの良いなあ、と思った矢先に毒牙にかけられてしまうの辛すぎる……ああ、腹筋崩壊太郎が支配されてゆく……。


▼その頃、飛電側では変身ベルトも完成。
一方、会議室では重役が集まり緊急取締役会を開催。初代社長の遺言状の開示がされるようで、遺言状を読み上げるために或人は呼ばれたと。コソコソと小言を言われてムチャクチャ居心地悪そうですが、その辺はイズちゃんが法律上問題は無いという事を説明し黙らせました。イズちゃん淡々と役目を果たしててイイ感じ。可愛い。


さて、遺言状を開いた或人は内容に困惑。
初代社長はどうやら自らの死の前にヒューマギア暴走テロを予見していたようで、対策として変身ベルトと今回のキーアイテムことプログライズキーを準備していた模様。
そして二代目社長に任命されたのは、まさかの或人。
これには遺言と言えど、副社長を始め重役の皆様方もお怒りの様子。


しかし或人は『俺の夢は人を笑わせることだから』と就任を拒否しその場を立ち去る。まあ今まで芸人やってたのに、いきなり巨大企業の取締役に就任しろと言われてもそりゃそうよな。


▼エレベーターの中で或人の過去の回想。


父親を笑わせようとにらめっこで奮起する子供時代の或人ですが、耳元にはヒューマギアの証であるヘッドセットが。え、お父さんヒューマギアなん……?実の父親は既に死んでいて、その代わりとしての存在、とかなのかな。そして突然爆発が起き或人が目を覚ますと辺りは見るも無残な惨状。ヒューマギアお父さんは或人に背中を押す言葉を残し息絶えてしまう。トラウマものだよなぁこれ……
うーん、この辺も色々と後々に布石が仕掛けられてそう。これがいわゆる『デイブレイク』で、幼少の或人達は巻き込まれてしまったのかしら。


というかヒューマギアお父さん役の山本耕史さん、先日8月25日に追加キャストとして西岡徳馬さんと共に発表がなされたワケですが、まさかの追加キャスト二人がどちらものっけから故人役という。いろんな意味で思い切りがいいのか何なのか(笑)。


▼場面変わって再び遊園地を訪れる或人くん。芸人を志したのはお父さんの事件がキッカケみたいで、未練もあってかステージをただただ見つめてます。切ないのう。すると係員たちをなぎ倒して腹筋崩壊太郎が渡されたゼツメライズキーを使いメローサマギアに変化、暴走を開始。変身シークエンスがなんかエグいです。カマキリモチーフなのは初代仮面ライダーのかまきり男オマージュ説が巷では濃厚なようですが、やっぱり個人的にはオーズの第1話を思い出しちゃうな。あっちのカマキリさん敵のくせに超親切な人だったけどね


腹筋崩壊太郎、暴走させられギリ踏みとどまってた感もありつつ残念ながら完全に悪の感情に支配されてしまったようで、キャラも超凶暴な感じに。「皆殺し」とかお前さっきと180度違うな、温度差が…!ああ、哀れ人類滅亡太郎……。


引き止めようとする係員ヒューマギアを触手で貫くと、係員も暴走しマギアに……!なるほど、こうやっていわゆる戦闘員を増やす事が出来るのか……。

 


▼時を同じくして遊園地に人工知能特務機関『A.I.M.S.(エイムズ)』が到着。銃を構えた武装部隊の皆様がゾロゾロお出まし。


ここで部隊の隊長こと不破 諫(ふわ いさむ)と、技術顧問の刃 唯阿(やいば ゆあ)が初登場。ゼロワンはダブルヒロイン体制のようで、唯阿ちゃんはもう一人のヒロイン枠でありゆくゆくは第三の戦士となる定めなワケですが、生真面目というか性格キツそう。同時にチョロそうでもある

武器の使用権限や発砲許可も唯阿ちゃんが持っているようですが、不破さん構わずに早速マギアに発砲。そうか。不破さん、君はアレか。聞かん坊キャラか。この人も一筋縄では行かなそうですけど、2号ライダーデレの法則に従っていつかはデレデレになっちゃいそう。彼の変身は次のお話まで持ち越しのようです。

 


▼壊されていく遊園地を目の当たりにし絶望する支配人。さっきまで人を笑顔にする遊園地を作るのが夢、と語ってたぶんコレはキツい仕打ち。
その夢を嘲笑い支配人に襲いかかる人類滅亡太郎……もとい、メローサマギアを一喝する或人くん。戦う決意を固めたようです。
イズちゃんが『我が社の社長の座に就く者のみ云々……』とかすごい大事なこと説明してる気がするんですが、遮ってベルトを要求する或人くん。もうこの時点でしっかり社長就任フラグ立ててるの笑う。


いざ変身ベルト・飛電ゼロワンドライバーを装着し変身……!かと思いきや、装着した瞬間に別空間に飛ばされる或人くん。何事ですかコレ。何が起きてるんですか。


イズちゃんの説明によると、ベルトを装着した瞬間に脳が衛星と無線接続して一時的に特殊な電脳空間に飛んでいるようで。そしてまさかのユーザーズマニュアルからの、チュートリアルモードという超絶親切設計(笑)。なんかこう、平成ライダーよりも遥かに変身者に優しいな令和ライダー……!

そして傍ら現実世界ではベローサマギアの攻撃によりあと5秒で死にますとか言われてるの地味に残酷です。時の流れ無情なり。


▼マギアと戦闘するエイムズの面々。それなりに弾を叩き込んで倒れたかと思いきや起き上がってくる辺り結構マギアもしぶとい。
予備の薬莢を使い切った様子の不破くん。もっと残弾用意しとこうよ……!でもここでマガジンを排莢する描写が地味にナイス、オタクご満悦。そして不破くん、車両に戻りガラスケースを破壊し変身ベルト兼銃型武器のエイムズショットライザーを手に。


車両に戻る様子を見逃さなかった唯阿ちゃん、勝手にエイムズショットライザーを取り出す不破くんに一喝。またも聞かん坊発動だったようですがそれを遮るように不破くん、唯阿ちゃんに向けて発砲!……かと思ったら、標的は唯阿ちゃんの背後に迫っていた先程のマギアでした。それお前が倒し損ねたヤツだからな

 


▼さて、一方の或人くんは『ラーニング完了』とのことで、ベルトの使い方は秒で一通り脳内に叩き込まれた様子。すると予告PVでも出てきた巨大なバッタのメカが登場。そして、劇場版ジオウで先行登場した際に衝撃を与えたゼロワンのメカニカルな顔面内部がチラリ。いろんな意味でインパクトだらけの変身です。


\飛ッび上がライズ!ライジングホッパーッ!/(発狂)
A jump to the sky turns to a rider kick(冷静)


うわぁ!いきなり落ち着くな!

 


個性的かつシックさの両立という良い意味で奇妙なバランスの変身音声と共に、仮面ライダーゼロワン、ここに降臨。全身のメインカラーである蛍光色、ネオンイエローが結構派手だなぁと感じた第一印象が思い出されるけど、よくよく思い返すと全身蛍光色は既にエグゼイドで通った道なので割と早くに見慣れてしまいました。今作から平成ライダーのメインスーツアクターを務めてこられた高岩さんから世代交代し、ゼロワンからは縄田さんに。マッシブな体型だった高岩さんから一転し、縄田さんのゼロワンは筋肉質な感じを残しつつもどこかスマートな印象。それにしても素直にカッコいいなぁ。


『ゼロワン!それが俺の名だ!』何そのポージング。


初戦闘は徒手空拳がメイン。基本フォームのライジングホッパー、流石にバッタがモチーフなだけあってピョンピョコ飛び回ってます。


『足のパワー、ハンパね〜!』こういう初変身後に能力に驚いたりする感じの台詞イイネ。


ベローサマギアの光線技をものともせず華麗にワンパン。いいねぇ、観てて爽快感ある。縄田さんのフットワークの軽さもゼロワンの俊敏さの描写に一役買ってる気がするなぁ。


今作は『ルパパト』の杉原監督が登板しており、縦横無尽のカメラワークを展開。これ超好きなんだよな……!玩具展開ガン無視の悪癖はまぁ今後にかかってるとしておきましょう


イズちゃんがサポートにカバン型武器のアタッシュカリバーを投げ渡すもゼロワンの顔面にヒット。律儀に謝るイズちゃん可愛い。許す或人くんもなんか優男感が出てるよね


変形させてカリバーモードに。これでもアクションのスピード感は落ちる事なく変わらずビュンビュン動いてますゼロワン。かっけえ〜。


その様子をはしゃぎながら楽しんで観戦していたのは滅。そこに横たわっていたマギアが襲いかかってくるも素早く後ろに回りチョークスリーパー(?)をキメると同時に拳銃を取り出しゼロ距離で頭部をブチ抜き。こいつやべえ。その間もずっと視線はゼロワンの戦闘から逸らさず笑いながら行なっているところがやべえ。
しかしマギアは暴走すると対象とか関係ないみたいですね。普通に滅に襲いかかってるのを見る限りは……

 


▼再びゼロワン側にクローズアップ、戦闘もクライマックス。すると流れてきたのは(個人的に超絶)念願の西川貴教ボーカルの本作主題歌『REAL×EYEZ』!これこれ。良いタイミングで流してくれる。この人のハイトーンな歌声とライダーの戦闘がマッチしすぎで熱い。


個人的に今回の一番の見所、宙に舞う鉄骨やコンクリの残骸の上を飛び跳ねながら、これまたメローサマギアの力で宙を舞っているバスのフロントガラスに飛び込み車内で手摺り使ってスピンしつつまたガラスを突き破り外へ飛び出していくシーン。このヤバさ。ライジングホッパーの俊敏さを描くこのカット、ミッション・インポッシブルを彷彿とさせるようなこういうアクションシーンはマジで大好物です。


そして必殺技、王道のライダーキック。






グ イ ン パ ク ト


…えっ、何これは(困惑)


砕け散っていくメローサマギアの部品を浴びながら貫いていくライダーキックがとっても格好良いんですが、ここでルパン三世のサブタイ演出のように一文字ずつ技名が画面に表示され、最終的に上記のようなL字カットイン。思わず椅子から転げ落ちた。エグゼイドでやったやんけそれ!!!まさかゼロワンで再来するとは思わず、ちょっと予想外。兎にも角にもちょっと度肝を抜かれてしまった。


ということで、メローサマギアを撃破。
ゼロワンは無事に初戦闘で白星を飾れたようです。


▼エイムズも同時に戦闘終了。
『歴史は繰り返すのか……』
不破くんもデイブレイク周りに関わりが……?


▼再びデイブレイクタウンの滅亡迅雷.netのアジト内にて。どうやら滅はメローサマギアのゼツメライズキーを回収してきたようで、迅はそれを取り出した時と同じコネクタに収納。破れた敵が使っていたこの手のアイテムは敗北と同時に砕け散るのがお約束ですが、メローサゼツメライズキーには損傷があるのみ。修復可能なのか、それとも戦闘データ収集の為か……?
いずれにせよ、テロ活動は本格化していく模様。海に沈んでいる謎の巨大マシンの妖しい光がそれを予感させる……。


▼やはり変身した時点で社長就任と見なされたようで、ゼロワンドライバーを返却しようとする或人くん。イズちゃんの話ちゃんと聞いとけばよかったね。


遊園地では支配人が子供達に施設の再建を誓っており、どうにかビターなエンドは回避。そして或人に目配せする支配人。何だかんだ良い人そうです。報われるといいね。


『或人様の夢である、笑いの表情を多数検出しました』
『……こういう笑いの取り方もあるってことか』


認識に違いあれど、この二人の関係性も面白そう。

 


社長に就任する事を決意する或人くん。天才物理学者が作ったかのような専用のライズフォンを渡され、操作すると社長名義の電子名刺が。


或人のギャグを説明してしまうイズちゃんも可愛い。芸人殺しだな……!


サブタイをラストに表記する演出で、今回は締め。

 


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【まとまりのない雑感コラム】


さて、ゼロワン第1話。
特撮作品の『第1話』というものは往々にして、それが良くも悪くも今後の作品の舵取りを占うものでもあり、世界観の説明・メインキャラクターの顔見せ・散りばめられていく謎・戦闘シーン、これに加えて玩具の販促も行わなければならない。描写ノルマは通常のドラマやアニメよりもたくさんあり、初見の視聴者層も掴まなければならない。いくつか挙げた通り初回でお披露目しなければならないものが沢山有るなか、今回はかなりしっかりと纏めてきた印象。ここ数年の作品群の中でもかなり群を抜いており、掴みはバッチリの初回じゃないかなと思います。
脚本は『エグゼイド』でその高いストーリー構成力を見せつけた高橋悠也さん。初めての特撮畑にしてエグゼイドのTVシリーズ・劇場版・Vシネを全て一人で書き上げた手腕は今回も遺憾無く発揮されていて、押さえるべきところはきっちり押さえてあるなぁという感じ。


演出面でも工夫を凝らした新しい画造りにかなり気合いが入っているようで、杉原監督お得意の「キャラクターそのものに接写してついていくカメラワーク」がライダーで見れて個人的に感激。


今回、ワンカットながら地味に目を引いたのは腹筋崩壊太郎が『自分の持ち芸で笑顔になった観客』を思い出し、思わず自分も無意識に笑顔になり一瞬戸惑うくだり。このカット、短いながらにかなり重要な場面でもあると思うんですよね。単なるロボットではなく"人工知能"を搭載したアンドロイドであるヒューマギア。その中身は人工的にプログラミングされたものでありながらも、腹筋崩壊太郎のように自我が芽生え始めるかのような素振りを見せた者も存在する。そんな人工知能の自我の覚醒=シンギュラリティにつけ込んで暴走させるのが滅亡迅雷.netの野望ですが、ある意味では人間達よりも先見の明があるのかもしれません。
これまで、平成仮面ライダーシリーズでは度々『人と人ならざる者の共存』について描かれてきており、死した人間が蘇生して産まれた異形の姿であったり、古来より存在する異種族であったりと、人間とは明らかに一線が引かれた存在との対立・共存の物語がありました。
反面、今作で描かれるのは人間の手によって生み出された人工知能を持つアンドロイド。ヒューマギアは人間の未来への発展の象徴でもあれば、裏を返すと人間のエゴイズムによって生まれた存在でもあります。
『ドライブ』のロイミュードがイメージとしては近しいですが、あちらはそもそも開発目的も違えば個体の数も限られており、最初から人間に離反していたりする辺りが今作のヒューマギアとは似て非なるところ。
公式設定上、暴走しマギアと化したヒューマギアを止める方法は破壊のみとされており、『エグゼイド』のリプログラミング設定のような利便性を敢えて捨てたとも言えます。次回はヒューマギアを憎む不破さんと或人くんの対立が描かれるようですし、作品の縦軸はいずれ『人間とヒューマギアの共存の是非』に発展していくのかな。世界の発展の為に人間の手によって生まれるも、悪意によって暴走させられる。ヒューマギアは人類の未来への希望か、それともエゴの果ての哀しき存在か。これからどのように物語の縦軸をなぞっていくのか、楽しみです。にしても、役者にヘッドセットを付けてアンドロイドですと言い張る辺りに東映イズムを感じる(笑)。

 


そして、設定面でも謎が提示された第1話。
まずはデイブレイクタウンの真相。公式サイトによると、かつては飛電インテリジェンスの実験都市だったとか。もうこの時点で飛電側が何かやらかしてるのは明白ですが、滅亡迅雷.netの二人はそれに便乗する形で登場したテロリストなのか、それとも飛電側と何か関係があるプロトタイプのヒューマギアだったりするのか。ヘアバンドやフードで耳元を隠していたり、プログライズキーの製造テクノロジーを所持している辺り後者の説が有力ではありますが……。エイムズの不破さんも何かデイブレイクに因縁があるようで。


そして、ヒューマギア或人パパの謎。人間としての或人パパは事故か病気か何かで既にこの世には存在せず、その代わりに初代社長が作ったのがヒューマギア或人パパ、ってとこかなあ……?いや、まあヒューマギア或人パパも故人になってしまったんですけどね……。
或人くん、回想では小学生くらいの子供だったし、なおかつ現在22歳ということはヒューマギアが世間に浸透して少なくとも10年以上は経過しているはずなので、或人パパのヘッドセットが現段階で製造されているヒューマギアのものと違うのはこれも初期段階、プロトタイプであると考えるとデイブレイクの時期(まだ或人くんの幼少期に起こったであろうこと以外にデイブレイクの正確な時系列は明かされていませんが)的にも合致するし。


とにかく、デイブレイクが起きた過去に謎が集約されているようなのでこの辺も徐々に明かされていくのかな。

 


▼既にネット上では「或人くんヒューマギア説」が各所で囁かれています。単純に名前が「飛電(ヒューマギア)或(いは)人」であるとか、「プログライズキーを使用できるのは本来ヒューマギアだけであって、飛電の社長に就任した者だけがキーとドライバーを使えるというのは建前ではないのか」など、その考察理由は様々ですが……個人的にはそれだとありきたりすぎるというか、同じ脚本家的に「宝生永夢ゥ!」とやや被ってしまうので、さらにその上を行ってほしいなぁと思ってます。


▼主題歌についても語り散らかしたいところですが、既に文章量がえらいことになっているので次回以降に語って参りたいと思います。第2話でOP映像が解禁されてからがグッドタイミングかな。今言えることは「ようこそ、西川くん」ですね。本当に念願だったので………

 


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次回、早速エイムズにガサ入れされる飛電インテリジェンス(笑)。不破さんの変身する2号ライダー・バルカンもいよいよお披露目。
『人類の敵だ!』『人類の夢だ!』バチバチに対立しそうな或人くんと不破さんの関係性やいかに。

 

 

次回、第2話

『AIなアイツは敵?味方?』

 


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ご静聴ありがとうございました。アデュー。